Blenderで形を作ったことはあっても、「それを実際に3Dプリンターで出力してみたい」と思ったことはありませんか?
この記事では、Blenderで立方体をモデリングし、STL形式で保存してBambu Studioに読み込み、A1 miniで造形を行うまでの流れをやさしく紹介します。
「モニターの中の形が、本当に手の中に現れる」
そんな3Dプリントの第一歩を、一緒に体験してみましょう♪
3Dプリンター向けに設定するBlenderの基本設定
3Dプリンターで正しいサイズの造形を行うためには、まずBlenderの単位設定を調整しておきましょう。
デフォルトのままだとスケールが合わず、3Dプリント時に想定と違う大きさで出力されてしまうことがあります。
設定方法は次のとおりです:
- 右下の「シーンプロパティ(図形が書いてあるアイコン)」を開く
- 「単位」項目で、単位系を「メートル法(Metric)」 に変更
- さらに「単位スケール」を 0.001 に設定
- さらに「長さ」をミリメートル(Millimeters)に変更

こうすることで、Blender上での1単位が「1mm」として扱われ、実際の3Dプリントに合わせた正確なモデリングができます。
この設定をしておくことで、Bambu Studioに読み込んだ際もスケールずれが起きにくく、安心して造形データを作ることができます。
10ミリ(1cm)の立方体を作ってみよう!
設定ができたら、実際に3Dプリント用のモデルを作ってみましょう。今回は練習として、10ミリ(1cm)サイズのシンプルな立方体を作成します。
3Dビュー上で Shift+A を押し、メニューから「メッシュ」→「立方体(Cube)」を追加します。

立方体を選択した状態で、右側の「アイテム(Item)」タブを開きます。

「寸法(Dimensions)」の X・Y・Z の数値をすべて 10mm に設定します。

この操作で見た目の大きさは10mmの立方体になりますが、Blender内部のスケール情報 は変更前のまま残っています。
そのままSTLに書き出すと、Bambu Studioでサイズがずれてしまう場合があるため、寸法を変更したあとは必ず スケールの適用(Ctrl+A → スケール) を行いましょう。

STL形式で書き出して3Dプリント用データを作ろう
立方体が完成したら、次は3Dプリンターで読み込める形式に書き出します。
3Dプリンターでは一般的に STL形式(.stl) が使われます。これは、モデルの形状を「三角形の集合」として記録するシンプルな形式で、どのスライサーソフト(Bambu Studioなど)でも読み込める標準的なファイル形式です。
STL形式が選ばれる理由は、データが軽くて扱いやすく、形状だけをシンプルに記録するため、印刷ミスや読み込みエラーが少ないという点にあります。色やマテリアル情報は含まれませんが、3Dプリントでは形状データが中心なので十分です。
書き出し方法は次のとおりです▼
立方体を選択した状態で、上部メニューの 「ファイル」→「エクスポート」→「STL」 をクリック。

保存場所を指定し、わかりやすい名前をつけて「エクスポートSTL」を押します。
これで、Bambu Studioなどのスライサーソフトに読み込める3Dプリント用データが完成です。
次のステップでは、このSTLファイルを Bambu Studioにインポートして印刷設定を行う手順 を紹介します。
Bambu StudioにSTLファイルを読み込んで印刷設定をしよう
STLファイルが用意できたら、いよいよBambu Studioを使って3Dプリントの準備を行います。
Bambu Studioは、A1 miniなどのBambu Lab製プリンターで造形を行うための「スライサーソフト」です。
このソフトで、造形する位置・サポート・層の厚みなどを設定し、プリンターに送るためのデータを作成します。
STLファイルを読み込む手順
Bambu Studioを起動し、画面上部の「ファイル」→「インポート」→「モデルを開く」または、メニューバーにある準備を選択後、STLファイルを直接ドラッグ&ドロップ。

読み込んだ立方体がビルドプレート上に表示されます
もしモデルのサイズが極端に大きい・小さい場合は、Blender側のスケール設定が反映されていない可能性があります。
前の工程(Blender)で「スケールの適用(Ctrl+A → スケール)」を行ったか確認してみましょう。
また、オブジェクトを選択することで画面右下にオブジェクト情報が表示されます。

印刷設定の基本(Bambu Studio経験者向け)
今回は「Blenderで作成したモデルを正しく印刷する」のが目的なので、基本的なノズル径やフィラメント設定は、すでに普段使用しているものをそのまま使えばOKです。
特別な変更は不要ですが、確認しておくと良いポイントを挙げておきます▼
- レイヤー高さ(Layer Height):普段通り0.2mm前後で問題なし
- サポート材:立方体のようなシンプルな形なら不要
- スケール:100%のまま(Blender側でミリ単位設定済みならそのままで正確)
- 造形位置:ビルドプレートの中央に自動配置されていればOK
設定を確認したら「スライス」を実行し、プレビューで造形パスを確認します。

問題がなければ「印刷を開始」または「SDカードに保存」でA1 miniに送信しましょう。
印刷後の仕上がりを確認してみよう
印刷が終わったら、いよいよ完成した立方体を取り出して仕上がりを確認してみましょう。
Bambu Studioの設定どおりに印刷が行われていれば、きれいなエッジと均一な層が積み重なった立方体になっているはずです。

ここでぜひ注目したいのが、「デジタル上で設計したサイズ」と「実際に出力されたサイズ」の比較です。

Blenderでは10mm(1cm)の立方体として作成しましたが、3Dプリンターでは素材の収縮や積層精度の関係で、ごくわずかに誤差 が生じることがあります。
こうして「データ通りの形が現実に再現される」ことを体感すると、モデリングと3Dプリントの関係がぐっと身近に感じられるはずです。
わずかな誤差も、プリンターの精度やフィラメントの特性を知る良いきっかけになります。
今回の流れを通して感じた3Dプリントの面白さ
今回、Blenderで立方体をモデリングし、Bambu Studioで設定してA1 miniで実際に出力するという一連の流れを体験してみて、改めて「デジタルと現実がつながる」面白さを実感できたと思います!
画面の中で作った形が、手のひらの上に“本物”として現れる瞬間は、何度見ても感動しますよね♪
ほんの10mmの立方体でも、「寸法どおりにできた」「ここは少し誤差が出た」といった気づきがあり、そこからプリンターの精度や素材の特性を学べるのも3Dプリントの魅力です。
次はもう少し複雑な形や、自分だけのオリジナルデザインにも挑戦してみましょう!