Brim(ブリム)はいつ使う?使わなくていい?形状別の判断基準と設定方法【Bambu Studio】

Brim(ブリム)はいつ使う?使わなくていい?形状別の判断基準と設定方法【Bambu Studio】

3Dプリントで「倒れる」「剥がれる」といった失敗を防ぐ方法として、よく紹介されるのが Brim(ブリム) です。
しかし、すべての造形にBrimが必要なわけではなく、形状によっては逆効果になる場合 もあります。

この記事では、

  • Brimを使うべき形状
  • Brimを使わなくていい形状
  • Bambu Studioで設定できる
    • 外側 / 内側Brim
    • Brim幅の考え方

を中心に、「Brimを使うかどうかを自分で判断できる」ことを目的に解説します。

Brim(ブリム)を使うべき形状

Brim(ブリム)は、すべての3Dプリントに必要な機能ではありません。
しかし、形状やバランスによってはBrimを使うことで失敗を大きく減らせるケース があります。

オブジェクトが細長いためBrim(ブリム)を使うべき形状
オブジェクトが細長いためBrim(ブリム)を使うべき形状

判断のポイントは主に次の3つです。

  • 高さに対して底面が十分に広いか
  • 接地面が面ではなく、線や点に近くなっていないか
  • 造形中に倒れる・浮くリスクが高い形状か

これらに当てはまる場合、Brimを使うことで底面の接地面積を広げ、造形の安定性を高めることができます。
以下では、実際にBrimの効果が出やすい代表的な形状を具体例とともに見ていきましょう。

① 高さがあり、底面が小さい形状

  • 細長い円柱
  • 人形・フィギュアの脚
  • 棒状パーツ

理由

  • 重心が高く、振動や反りの影響を受けやすい
  • 接地面積が小さく、初層の保持力が弱い

Brimで底面積を人工的に広げることで安定性が向上

② 接地面が線・点に近い形状

  • 文字オブジェクト
  • フレーム形状
  • 薄い板が立っている造形

理由

  • 初層の密着力が不安定
  • 一部が剥がれると連鎖的に倒れる

Brimは「保険」として非常に有効

Brimは「保険」として非常に有効

高さがなく、接地面積が広いのでBrimは「不必要」に見えるが、
ジョイント部分が細く印刷時に剝がれてしまう場合があるので、Brimを「保険」として使用。

細い部分が飛び出している場合は保険でBrimを使用
細い部分が飛び出している場合は保険でBrimを使用

③ 反りやすい素材(PLA以外)を使う場合

  • PETG
  • ASA
  • ABS系

理由

  • 冷却時の収縮が大きい
  • 角から浮きやすい

Brimで周囲を固定すると反り抑制に効果あり

Brimを使わなくていい形状

Brim(ブリム)は造形の安定性を高める便利な機能ですが、すべての形状で使う必要があるわけではありません
むしろ、形状によってはBrimを使わない方が、仕上がりや作業効率が良くなる場合もあります。

接地面積が十分に確保されている
接地面積が十分に確保されている

特に、

  • 底面の接地面積が十分に確保されている
  • 造形中に倒れるリスクが低い
  • 底面の見た目や品質を重視したい

といった条件に当てはまる場合は、Brimを使わずに印刷しても問題ありません。
以下では、Brimなしでも安定して造形できる代表的な形状と、その理由を具体的に解説します。

① 底面が広く安定している形状

  • 箱型ケース
  • プレート状パーツ
  • 広い底面を持つ台座

理由

  • そもそも接地面積が十分
  • Brimなしでも安定する

無理に使うと 剥がしにくさ・底面荒れ の原因に

② 外観を重視する底面がある造形

  • 展示用スタンド
  • 製品外装パーツ

理由

  • Brim除去跡が目立つ
  • 底面品質が下がる可能性

まずはBrimなしでテスト推奨

Bambu Studioで設定できるBrimの種類

Bambu Studioでは、Brim(ブリム)を単に「ON/OFF」するだけでなく、生成する位置や範囲を細かく設定することができます。

プロセス「その他」にあるブリムタイプから使用したいブリムタイプを選択
プロセス「その他」にあるブリムタイプから使用したいブリムタイプを選択

この設定を理解していないと、Brimを使っているのに効果が出なかったり、逆に除去しにくくなったりする原因になります。

Brimの設定は主に、

  • モデルの外側に生成するか
  • 内側(穴や中空部分)に生成するか

という2つの種類に分かれています。
形状や外観の優先度に応じて適切に使い分けることで、安定性と仕上がりのバランスを取ることが可能です。
ここからは、Bambu Studioで選択できるBrimの種類と、それぞれの特徴を見ていきましょう。

外側Brim(Outer Brim)

特徴

  • モデルの外周にBrimを生成
  • 最も一般的で安全

向いているケース

  • 倒れやすい造形全般
  • 初心者はまずこれ

迷ったら外側Brim

内側Brim(Inner Brim)

特徴

  • 穴や内側構造にBrimを生成
  • 外観に影響しにくい

向いているケース

  • 中空構造
  • 外観を重視したい造形

内部が狭いと除去しにくい点に注意

Brim幅はどれくらいが適切?

Brim(ブリム)の幅は、広ければ広いほど安定するというわけではありません。
Brim幅を広げることで造形は安定しやすくなりますが、その分除去の手間が増えたり、底面の仕上がりに影響が出る場合もあります。

適切なBrim幅は、

  • 造形物の高さ
  • 底面の広さ
  • 倒れやすさ・反りやすさといったリスクの大きさ

によって変わります。
ここでは、「とりあえずこのくらいから始めれば失敗しにくい」という実用的な目安を中心に、Brim幅の考え方を解説します。

プロセス「その他」にあるブリム幅から幅を変更可能
プロセス「その他」にあるブリム幅から幅を変更可能

基本の考え方

  • 安定性が欲しい → 広め
  • 外観重視 → 最小限

目安(初心者向け)

造形の特徴Brim幅の目安
少し不安定3〜5mm
高さがある5〜8mm
細長く倒れやすい8〜10mm

必要以上に広げると除去が大変になる

Brimが逆効果になるケース

  • Brimが強く付きすぎて底面が荒れる
  • 剥がすときにモデルが欠ける
  • Brim除去がストレスになる

「使うべきかどうかを判断する」ことが最重要

まとめ

  • Brimは万能ではない
  • 形状・高さ・接地面積で判断する
  • Bambu Studioでは
    • 外側 / 内側
    • Brim幅
      を調整できる
  • 「倒れる・剥がれる」対策の一つとして、適切に使うのがベスト